10月25日(土)、かごしま県民交流センター県民ホールにおいて、平成26年度防災・日本再生シンポジウム桜島火山と地域防災―大正噴火の経験を生かす―」を開催し、民間企業関係者、自治体関係者、学校関係者、学生など188名が参加しました。
シンポジウムは、浅野 敏之 地域防災教育研究センター長の総合司会で進められました。まず、前田 芳實 鹿児島大学長が開会挨拶を行い、「桜島の大規模噴火によって引き起こされる火山災害についてよく知り、防災減災に生かしていきたい」と述べました。
続いて、鹿児島県知事(佐々木 浩 鹿児島県副知事 代読)による来賓挨拶があり、「県民の防災意識を高揚させるとともに、関係機関の防災対策の推進に大きく貢献することを期待します」と言葉をいただきました。
シンポジウム前半では、3名の講師による講演が行われました。
小林 哲夫 鹿児島大学大学院理工学研究科教授は、「桜島火山の歴史時代の大噴火」と題し、西暦764年の天平宝字噴火から大正噴火までの4大噴火の特徴を噴出物調査の結果や古文書の記録に基づいて解説しました。
続いて登壇した井口 正人 京都大学防災研究所火山活動研究センター長は、「大正級大規模噴火の予知に向けて」と題し、大正級大規模噴火の可能性について触れたうえで、噴火予測の重要性と、住民の命を守り生活を支えるための防災戦略構築の必要性を訴えました。
さらに、下川 悦郎 鹿児島大学名誉教授は、「大噴火による被害想定」と題し、大正噴火による被害について説明したうえで、桜島周辺域の社会的変貌を考慮した大規模噴火の被害想定の実施と被害想定に基づく防災対応の必要性を強調しました。
シンポジウム後半では、下川悦郎の司会で「大正噴火の経験を地域防災に生かす」というテーマで、防災関係機関の関係者、地域住民、研究者を交え、パネルディスカッションを行いました。
討論に先立ち、木口屋 博文 鹿児島市役所危機管理課長より、「鹿児島市の桜島火山対策」について報告がありました。
討論は、①防災の基本、②住民等の生命を守る、③市民生活を守る、④コミュニティを守る、の4つの論点に沿って進められ、また会場からも「住民の危機感の欠如を感じる」、「様々な被害シナリオとその対応について検討をお願いしたい」など、多くの意見が寄せられ、活発な議論となりました。
最後に、住吉 文夫 鹿児島大学理事の閉会挨拶でシンポジウムを閉じました。
シンポジウム全体を通して参加者の関心の高さが伺え、地域住民の方々と桜島噴火への防災対策について今後も継続して考えていくための有意義な機会となりました。
(写真上) シンポジウム会場の様子
(写真中) 京都大学 井口 教授の講演
(写真下) パネルディスカッション