<第10回噴煙火山ガス研究会>
鹿児島大学地域防災教育研究センターでは、下記の要領で噴煙火山ガス研究会を開催いたします。研究会への参加は学内外のどなたでも可能です。興味のある方はご参加ください。(事前申込みは不要です。)
日時:平成28年2月19日(金)15:00~16:30
※今回は開始時間が早くなります。
会場:鹿児島大学 産学官連携推進センター1階 ディスカッションルーム
↑ クリックすると鹿児島大学のホームページへジャンプします。
(郡元キャンパスマップ30・31番)
○講演題目: 噴煙火山による呼吸器疾患について
○講演者: 樋口 健太(現在 鹿児島医療技術専門学校;4月より日本医療大学)
○講演内容:
火山活動に伴い、火山灰、二酸化硫黄、硫化水素、酸化窒素、放射性核種などが放出され、周辺の地域に影響を及ぼす。火山灰は、周辺の地域だけでなく、広い地域に降下しうる。例えば、噴火に伴い大気中の浮遊性粒子状物質(Suspended Particulate Matter: SPM)が増加するが、SPMは軽くて比較的遠くまで運ばれるため、広い地域に拡散し、その濃度は比較的低いレベルにとどまることが多い。直径2mm以下のパイロクラスト(火山破砕物)が火山灰と定義されている。火山灰は毒性学的には比較的不活性である。火山灰粒子が肺の末梢部へ到達する確率は粒子径・粒子の形状・呼吸速度などに影響されるが、粒子径が概ね5μm以下になると肺胞に達しうる。粒径0.02μm前後で肺胞への沈着が最も多く(約50%)、さらに小さくなると肺胞に沈着せずに上気道に沈着しやすい。直径10μm以上の火山灰粒子は鼻炎・鼻汁、のどの痛み、咳などの症状を起こす。これより小さい粒子は、咳、痰、喘鳴、息切れなどの症状を起こしたり、喘息発作、急性気管支炎、慢性気管支炎、心疾患の悪化などを引き起こすことがある。なお、国際がん研究機関は、粒子状物質による屋外空気汚染が発がんの原因(Group 1)となると結論している。火山活動に伴うPM2.5増加による健康被害も懸念されているが、現在のところ、明確な健康影響は報告されていない。
噴煙火山ガス研究会*
*研究会は鹿児島大学「噴煙・火山ガス研究グループ」(代表者:教育学部木下紀正教授(現鹿児島大学名誉教授))により2000 年に開始されました。火山噴火に伴い放出される火砕物や火山ガスの形態、監視、社会への影響などについて、学術研究にとどまらず、火山地域で生活する住民や地域社会の防災力の向上について考える研究会です。