2月20日(土)、鹿児島大学稲盛会館において、平成27年度地域防災教育研究センターシンポジウム「2014年広島豪雨災害に学ぶ ―警戒避難対応を中心に―」(主催 地域防災教育研究センター、共催 鹿児島地方気象台)が開催され、自治体の防災関係者、気象台職員、民間企業関係者、学内教職員など115名が参加しました。
シンポジウムは、岩船昌起 地域防災教育研究センター特任教授の総合司会でプログラムに沿って進められました。
冒頭、住吉文夫 研究担当理事が、「鹿児島でも雨の条件さえそろえば2014年広島災害と同じような悲惨な豪雨災害が発生する恐れがある。これから起こるかもしれない豪雨災害において人的被害を出さない方策について考えたい。」と開会の挨拶を行いました。次いで、下川悦郎 地域防災教育研究センタ―特任教授(シンポジウムオーガナイザー)がシンポジウムの進め方について説明しました。
海堀正博 広島大学大学院教授が、「2014年8月20日広島市で発生した大規模土砂災害-どうして多くの命が奪われる大災害になってしまったのだろう?-」と題して基調講演を行い、広島豪雨災害の特徴について、次のように話しました。「短時間の激しい雨、土砂災害危険地での人家の密集、発災が真夜中という三つの条件が重なって多くの犠牲者を出す大災害になった。こうした災害を防ぐには行政の防災対応だけでは不十分で、住民の自主的防災対応が大事。」
パネル討論に入って、三つの話題提供がありました。
海老原 智 鹿児島地方気象台長は、「警戒避難対応における気象情報の活用」と題し、大雨時の数値予報や降水短時間予報、土砂災害警戒判定メッシュ情報、高解像度降水ナウキャスト解析値など降雨に関する情報とその活用方について説明しました。
木口屋博文 鹿児島市市民局危機管理部危機管理課長は、「鹿児島市の豪雨災害への対応」と題し、災害の危険が高まっている区域の自動的抽出と、迅速かつ的確な避難勧告等の発令を支援する鹿児島市避難勧告支援システムについて解説しました。
森 秀和 垂水市総務課安心安全係長は、「垂水市の警戒避難対応の現状と課題」と題し、垂水市における最近の豪雨災害の発生状況と、災害対策本部機能の整備や市民への情報提供、避難勧告基準の見直し、防災意識の啓発などの防災対策の強化について説明しました。
パネル討論は、海堀正博、海老原 智、木口屋博文、森 秀和の4氏に、永吉信矢 垂水市自主防災連合会長がパネリストに加わり、下川悦郎と岩船昌起の司会で行われました。
パネル討論は、集中性の強い豪雨によって引き起こされる災害から住民の命をいかに守るか、そのために ① 行政は何をすべきか、② 住民は何をすべきか の二つの論点に沿って進められました。司会者からの質問に対し、パネリストから多くの意見が出されました。また、会場の参加者からも多数の意見が寄せられ、活発な議論となりました。
最後に、浅野敏之 地域防災教育研究センター長の閉会挨拶でシンポジウムを閉じました。
【海堀正博氏の講演の様子】
【話題提供①】
【話題提供②】
【話題提供③】
【パネル討論の様子】