7月10日(水)、鹿児島市の鴨池公民館にて「学校防災研修会」(主催:鹿児島市教育委員会)が開催され、本センターの岩船昌起特任教授が「復旧・復興期を見据えた学校防災体制づくりー桜島大噴火を想定した”備え”を考える」と題し、講演を行いました。
この「学校防災研修会」は、鹿児島市内の小・中・高等学校をはじめとする教育機関の防災担当者等を対象として実施されたもので、今年度で2回目の開催となり、約140名の参加がありました。
岩船特任教授は講演のなかで、東日本大震災の津波による被害とその後の被災住民の生活について、写真や動画・図表等を用いて説明したうえで、大規模な災害が起こった場合に「学校」がまず「避難所」となる可能性が高く、「学校」ではいつでも速やかに避難所を開設できる準備をしておくべきことが重要と話しました。具体的には、日頃から地域住民と協力して運営できる「避難所マニュアル」の作成や、鹿児島県や鹿児島市とともに非常時の食糧や資材などの備蓄を進める必要性が強調されました。
また、桜島大噴火に対しては、噴火時の風向きにより居住地によって避難者かその受入者のどちらにもなり得る可能性があり、学区や市町村、そして県域を越えた広範囲での「避難者受け入れ」の地域連携が必要であり、さらに、現在「災害」というと「発災」時に目が向けられがちであるが、その後の長期にわたる復旧・復興期まで考慮した「防災・減災」の仕組みを構築するべきことについても提起されました。
講演終了後には質疑応答も行われました。「一つの学校だけの問題ではない」との声も聞かれ、参加者は自身の所属する教育機関の裁量を超えた「桜島大噴火」への“備え”の必要性を強く認識した様子でした。