8月9日(金)、鹿児島市のサンロイヤルホテルにて「平成25年度消防実務講習会」(主催:一般財団法人全国消防協会・同九州地区支部)が開催され、本センターの岩船昌起特任教授が「津波の動きと避難行動―『映像解析』から九州を考察する」と題して、講演を行いました。
この「消防実務講習会」は、消防実務に係る知識及び教養を深め、円滑な消防行政の推進を図るために、九州内の消防職員を対象として実施されたもので、各消防局の幹部クラス約150名が参加しました。
岩船特任教授は、東日本大震災時の津波映像を用いて緊急時の対処法等を次のように述べました。
①津波の力が比較的弱かったところでも、堤防を越えた津波は50mを約10秒で移動した。屈強な消防隊員でも数百mをこの速さで走り続けることは難しく、水門の閉鎖等で逃げ遅れた場合、路上で津波に遭うことが一番危険なので、近くの頑丈な建物の高階に避難するべきである。
②木造家屋の多くは、水深3m、流速3m/秒で流され始めた(一般的には水深2m流速5m/秒)。木造の建物に避難した場合、流れの勢いを観察しつつ、屋根を伝わって鉄筋の建物に移動する努力を行うべきである。
③津波が流入した約5分間と引き波の1分間は変化が激しく危険な水環境であるが、堤防が破壊されなかったので15分以上水がゆっくりと引き、堤内で滞水が続いた。この間安全が確保され、十分な装備があるならば、捜索や救助が理論的には可能である。
④また、九州については、活断層や火山が海域にもあるので、規模が小さいものの10分前後で襲来する近地津波を想定する必要があり、この場合、二階への避難等、路上で津波に遭わない避難計画も準備する必要がある。
参加者は講演を熱心に聴き、改めて災害に対する意識を高めている様子でした。