氾濫被害を軽減するため、国が川内川の改修に着手してから90年が経過したことを契機に、安全・安心で魅力ある川内川の流域全体のまちづくりについて考えようと、国土交通省九州地方整備局川内川河川事務所及び川内川流域連携ネットワークの主催で、標記サミットが令和5年3月11日(土)に開催されました。
これには、流域の市長、町長のみなさんが参加されたほか、鹿児島大学から地域防災教育研究センター調査研究部門(兼任)の齋田倫範准教授(理工学域工学系)と地域連携部門(兼任)の黒光貴峰准教授(法文教育学域教育学系)も招聘され参加しました。
冒頭、九州河川協力団体連絡会議代表の中村周二様の講演があり、地域の皆さんの協力を得てガラッパ王国を誕生させたことや、「ガラッパ学校」では子供たちを自然に触れさせ、魅力を感じてもらう活動に取り組んだこと、また「川内川をかたいもんそかい」を立ち上げ、多様な方々と川内川を活用した未来について語り合った活動などを紹介され、子どもたちや地域住民に河川の危険性だけでなく自然の恵にも目を向けてもらえるよう、一途に取り組んできたことが報告されました。
その後、流域の首長のみなさんや本学の教員も参加したパネルディスカッション「流域治水とまちづくり」が開催され、首長のみなさんからは、地域が浸水した苦い経験や、一方で子供時代には魚とりなどして川遊びを楽しんだ思い出、さらにはまちづくりの現状が紹介されたほか、これからは、流域全体で恵ももたらしてくれる河川を活用したまちづくりに取り組むべきではとの意見もありました。
齋田准教授は、内水氾濫や外水氾濫の違いの説明とともに、降った雨は河道を通じて海や湖へ流そうとするこれまでの考え方が地球温暖化の影響もあり通用しなくなってきており、河道への負担を減らすことの大切さを報告されました。また、黒光准教授からは、防災教育に当たっては人間形成やコミュニティに恩恵を与えてくれる河川について怖さだけでなく素晴らしさもシッカリと伝えることも大事であるとのお話がありました。
最後に、流域の首長が揃って、気候変動に備えた流域治水、流域の連携を深めたまちづくりに取り組むことや、教育や人材育成による、ふるさとの川を次世代に引き継ぐサミット宣言を行い、終了しました。
サミットを通じて、中村様からは想いを一途に持ち続け取り組むことで多様な人が周囲に集い、願いが叶っていくとういう貴重な人生訓話をいただいたほか、川内川をこよなく愛し、まちづくりのためにその恵みを生かしていこうとの流域のみなさんの強い想いを感じたことでした。