第36回鹿大防災セミナー(地域防災教育研究センター主催)を3月16日(木)にオンラインで開催いたしました。本セミナーには、本学の教職員及び学生のほか、国や自治体、建設や病院、マスコミの関係の方など学外の方々を含め、45名の参加がありました。
地域防災教育研究センター調査研究部門(兼任)の佐藤宏之准教授(法文教育学域教育学系)の司会進行で二つの講演が始まりました。
まず、本センター兼務教員の小林励司准教授(理工学域理学系)が、「1914年桜島地震における鹿児島市内の震度分布」と題して、今後の大規模噴火での地震想定の重要性を示した上で、桜島の大正噴火に伴う地震について、家屋や石塀の被害率を使って鹿児島市内の震度を評価する研究を紹介しました。震度分布の特徴として「最大震度が6強」「震度4の範囲が広い」と指摘しながら、「震度が大きいところは埋め立て地」「震度が小さいのに石塀倒潰率が高いところは、氾濫原低地や三角州・海岸低地で盛土」「M7.1のわりに震度が小さい」などの説明がありました。
講演後、参加者から①地震計の記録を利用し二次元振動装置による桜島地震の体験ができるか、②姶良カルデラのマグマ溜まりの付近で地震が起こることはないか、③石塀の被害率に関し液状化の影響は入っていないか、などの質問や意見がありました。
続いて、防災教育部門長(兼任)の松成裕子教授(医歯学域医学系)からは、「保健学科における新たな地域防災と地域連携を推進する事業計画について~チーム医療実習における要避難支援者への避難行動に係る支援計画~」と題して、現場経験からチーム医療の必要性を強く感じたことや、特に大規模災害が発生した時には医療人材にも不足が生じ地域との連携による対応が不可欠と感じていることから、地域の事情も踏まえた防災に強い医療人材を作ろうと取組を進めていることが紹介され、ついては、実習フィールドを自治体に提案してほしいとのお話もありました。
講演後、参加者から①チーム医療と災害医療の関連性に関する質問や、②教育分野においても防災を組み込んだ教育プログラムを立ち上げていきたいなどの意見がありました。
セミナーは、終始、参加者が発言しやすいよう和やかな雰囲気で進行し、桜島大噴火や南海トラフなど大規模災害の発生が懸念される中、時宜を得たテーマで関心が高かったことから、多くの意見などをいただけた有意義なセミナーとなったものと思います。
皆様も鹿大防災セミナーにぜひ参加してみませんか!