第39回鹿大防災セミナーを開催しました

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 第39回鹿大防災セミナー「防災教育教材を活用しよう」を11月20日(月)に開催いたしました。本セミナーには、本学の教職員および学生のほか、学外の自治体職員、教育・技術関係の方々など63名の参加がありました。

 本センター調査研究部門の佐藤宏之准教授(法文教育学域教育学系)の司会進行で三つの講演が始まりました。

 まず、地域連携部門の黒光貴峰准教授(法文教育学域教育学系)が「学校での防災教育教材の活用」と題して、鹿児島市防災ノート作成の背景や特徴についての講演を行いました。鹿児島市からの依頼を受け、アンケート調査で学校教育における防災への取り組みの実態を把握し、「小学1・2年生」「小学3~6年生」「中学生・高校生」の3種類の分別で防災ノートを開発しました。同教材の実際の様子を見せながら、①発達段階に合わせた体系的な教材、②自分自身が書き込むノート形式の教材、③地域性を取り入れる、④携帯出来るサイズ、⑤学校だけでなく家庭でも活用できる、⑥活用の仕方(教師用指導書)の作成という六つの特徴を紹介したほか、防災ノートの改訂についての説明もありました。将来、防災ノートのICT化を期待し、様々な場面で活用してもらえるような教材を目指して進めていくと述べました。

 次に、港湾空港技術研究所の小池賢太郎主任研究官(元鹿児島大学助教)が「VR地震体験装置の開発と活用」と題して、鹿児島大学海洋土木工学プログラムが取り込む防災教育を説明し、体感型VR地震体験システムの開発ついて講演を行いました。教科書や写真・映像で知識を学ぶ防災教育と比べて、実体験に基づく経験は重要と指摘した上、揺れを感じながら、VR技術により地震時の部屋内の物の落下、転倒等を疑似体験できる装置を紹介しました。この体験装置は、VRゴーグルと加速度センサーを設置した台車で構成されており、被験者はVRゴーグルを着用して台車に搭乗することで、スタッフが台車を揺らした際に、VR空間上に配置された家具が揺れの強弱(加速度)に連動して落下、転倒する様子を疑似的に体験できる。また、体験装置は省スペースで持ち運び可能であることや様々なシチュエーションを再現可能等のメリットがあります。今後、初等教育向けの体験会などを行うことで本装置の有効性、活用方法を確認しながら、VR技術を活用することで複合災害の発生時、自ら安全確保の行動ができる学習教材を目指すと述べました。

最後に、防災教育部門の松成裕子教授(医歯学域医学系)が「桜島火山版避難所運営ゲーム(HUG)の実践活動から原子力災害版への開発」と題して、2種類の避難所運営ゲームの開発背景及び特徴について講演を行いました。ゲーム内の使用カードやシート、全体の流れや事前準備等を紹介しながら、避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかの模擬体験ができ、災害に関する知識を学び、防災教育による自助力の向上を目的とし、年齢を問わず住民への防災・減災啓発と繋がると説明しました。令和5年度、薩摩川内市でアウトリーチのシンポジウムを開催するきっかけに原子力災害版のHUG開発が実現し、普及・啓発すること共に放射線リスクコミュニケーション教材にも活用できると述べ、今後、Web上でプレイできる桜島火山版HUGを公開することや桜島噴火における避難行動VR動画の制作等の最新開発状況をも紹介しました。

セミナーが終了後、参加者から「防災教育も体験型に移行しつつあることを実感しました」「大変参考になり、自己喚起にも繋がります」等の感想が寄せられました。

黒光先生の講演
小池主任研究官の講演
松成先生の講演

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