(鹿児島大学地域防災教育研究センター共催)
10月3日(火)に(公財)かごしま教育文化振興財団が主催する、防災×音楽「避難訓練コンサート」が川商ホール(鹿児島市民文化ホール)にて開催され、109名が参加する中、鹿児島地域防災教育研究センターの兼務教員である黒光貴峰准教授(法文教育学域教育学系)が講演を行いました。
避難訓練コンサートは、公演中に地震等が発生した場合にいかにして観客を避難させ安全を確保するか、またどのような課題があるかを探るために市民の参加を得て開催されているものです。
冒頭、主に鹿児島県内を中心に活躍するダリアサクソフォンカルテットによる演奏で始まり、心地よいサックスの響きに浸っている最中、「地震発生」の放送があり、コンサートは中断され、観客が身を低くする中、「火災発生」の放送が流れ、職員による避難誘導で、観客は階段を使い、4階の会場から2階エントランスホールまで避難していました。
この後、会場に戻り、鹿児島市中央消防署から、①安全と思えたら自宅に留まる選択肢もある、②自宅を離れて避難する場合は電気・ガスを止める、③避難時には眼鏡や薬など必需品を持参し、長袖・長ズボンの服装、④避難経路も複数を想定、⑤自宅の海抜も確認することが大事との講評がありました。
続いて、鹿児島市防災教育推進委員として小・中・高校生向けの「防災ノート」の開発に携わった経験のある黒光先生の講演へと移り、世論調査とGoogle formで会場から収集した結果を参考にしながら、①防災意識と行動が直結していないため、日ごろの訓練が重要なこと、②災害時には正常性バイアス(自分は大丈夫)や同調性バイアス(みんなと同じ行動をとる)などが働くが、警報等を軽視せず避難行動につなげることや、③思い込みではなく情報を正しく認識し命を守る行動に活用することが大事との話があった後、ARアプリで浸水度合いや雨の強さを観客に体験してもらう場面がありましたが、会場からはリアルさに驚きの声が上がっていました。
最後に、事前の備えでは街の構造やコミュニティ・社会だけでなく、人間そのものを災害に強くすることが重要で、また災害対策・復興に当たっては常に人間を中心に置いて考えることが必要、さらに、自然へのマイナスイメージだけでなく、自然から恩恵を得ていることも忘れてはならないと締めくくりました。参加型の講演でもあり、観客はアンケート結果にうなずきながら聞き入っている様子でした。
観客にとっては、いざという時の行動をも学べた有意義なコンサートだったのではないでしょうか。