鹿児島市消費生活センターでは、今年度、青年会館(鹿児島市教育総合センター3階)にて6月から7月にかけて「消費生活教室(全6回)」を開催していますが、その2回目となる6月24日(月)には、鹿児島大学地域防災教育研究センター兼務教員の寺本行芳准教授(農水産獣医学域農学系)が「土砂災害に備える」とのテーマで講義を行いました。
寺本准教授は、冒頭、災害は他人事ではなく、災害がどのようにして起こるのか、その上でどう備えるかについて学んでおくことが大事との話からスタートし、①戦後、鹿児島県では自然災害による死者・行方不明者が1,200名超で、その半分の600名超が土砂災害によるものであるとの話に続いて、過去に発生した豪雨による土砂災害(1993鹿児島豪雨災害ほか)、地震による土砂災害(1997県北西部地震)、火山噴火による土砂災害(1914桜島大正噴火)の事例について写真により被害状況を説明し、特に桜島大正噴火では地震も発生し、地震に関連した死者だけでも29名であったとの説明もありました。
次に、土砂災害の発生の仕組みへと話が進み、県下各地の被災写真を示しながら、①土砂災害を引き起こす原因には、表層崩壊、深層崩壊、土石流などがあることや、②崩壊地に草や木が生え表層土が厚くなってくると大雨で崩れるという表層崩壊がシラス急斜面では100年程度の周期で発生することを説明した後に、土砂災害を防ぐ砂防ダムなど各種ハード対策について紹介があり、そこでは、雨の規模によっては施設の能力を超える規模の災害が危惧されるため過信しないことが大事と話していました。
さらに、土砂災害の危険区域の周知や各種規制を目的とした土砂災害(特別)警戒区域の指定制度について紹介し、これらの区域を記載した「かごしまiマップ」などを活用し、自宅周辺の危険や避難場所、避難経路を普段から確認しておくことが大事との話もありました。
最後に、自分や大切な方の命を守るために、災害発生の仕組みや、自分の地域ではどんな災害で、被害がどこまで及ぶのかを事前に知っておくことや、内容も高度化し発信体制も迅速となった防災情報を住民が積極的に活用し迅速な行動に移すことが重要であると強調していました。
講義後には、多くの方が手を挙げ、土砂災害発生の仕組みや、砂防ダムの運用方法・効果などについて質問される姿に、災害・防災への関心の高さが十分に伝わってきました。