本年、1993年8月に鹿児島県内に甚大な被害をもたらした8・6水害(鹿児島豪雨災害)の発生から30年の節目を迎えました。これを機に8月2日(水)に、鹿児島市内にて「8・6水害から30年、改めて備えについて考える」と題した講演会(主催者:日本損害保険協会 鹿児島損保会、南日本新聞社)が開催され、鹿児島大学地域防災教育研究センター長の地頭薗隆教授(農水産獣医学域農学系)も、基調講演を行いました。
講演会では、まず、南日本新聞社の平川順一朗編集局長から「新聞で振り返る8・6水害」と題した講演がありました。8・6水害の現場で取材した経験を持つ局長は、時間軸に合わせて新聞紙面や記録写真を見せながら、災害発生当時の状況を振り返りました。その中で、8月7日の新聞では細川政権誕生の記事が大きくなるはずが、被害の全容が分からないながらも被災記事が大きな紙面をとったこと、被災者にカメラを向けるのは辛かったが、災害から身を守る貴重な写真となっていることなどを話し、最後には、自分の経験で判断しないことや、一番大切なものは命との意識を持つことが大事と締めくくられました。
続いて、鹿児島大学地域防災教育研究センター長の地頭薗隆教授から「8・6水害から30年~土砂災害に備えよう」と題した講演がありました。日本の自然環境の特徴や日本列島の地質等、1993年の鹿児島豪雨災害や土砂災害が起こる仕組み(土砂災害の分類、シラス台地の特徴、表層崩壊の繰り返し等)、防災活動のヒントや防災マップの活用等について映像、数値やデータを示しながら、具体的な説明を行いました。最後には、「自然環境を知ることは、防災の第一歩となる」、「危ない場所はここですよ、危ない時期はいつですよというような防災技術は随分進歩したが、技術の進歩と一緒に住民も進歩していかないと災害はなくならない」と述べ、防災リーダーの育成や防災意識を向上させることの重要性を強調していました。