去る4月16(火)に、(一社)全測連九州地区協議会が主催し、(公社)鹿児島県測量設計業協会が共催する標記講習会が鹿児島市内にて開催され、測量設計業務に携わる企業職員や自治体職員など1,000名ほどが参加されました。
本講習会には、地域防災教育研究センター地域連携部門(兼任)の平瑞樹助教(農水産獣医学域農学系)が「地理空間情報活用推進に関する九州地区産学官間連携協議会」(国土交通省国土地理院九州地方測量部が九州各県や大学、県測量設計業協会などに呼びかけ構成)の委員であることから案内を受け参加しました。
講習会では、主催者や鹿児島県知事の挨拶に続き、二人の講師の講演がありました。
講演では、まず、元九州地方整備局職員で現在、国立研究開発法人土木研究所の技術開発本部先端技術チームに所属される房村和明主任研究員が「デジタル技術による災害対応の変革」と題して、①被災自治体では災害査定資料を作成する必要があるが、大災害時には被災自治体・測量設計業界関係者は連日徹夜・週末を押した作業を強いられ、負担が非常に大きいこと、②一方、近年、自治体の土木関係職員は平成17年と比べて約3万人減少し、その負担は増加していること、③このため、DX(Digital Transformation)により、業務負担の軽減を図っていく必要があると話されました。また、今後の防災対応には、業務負担の軽減や現場での危険な作業からの解放が不可欠として、九州地方整備局内にインフラDX推進室を設置し、被災状況調査における作業のDX前、DX後の実証を重ね、ドローンをはじめ様々なデジタル技術の組み合わせの有効性を確認し、今後、自治体や業界、大学等にインフラ分野での働き方改革を推進していくと話されました。
その後、元九州地方整備局職員災害対策マネジメント室に勤務されていた田畑浩規様から「能登半島地震におけるDXの取組」と題して講演され、その中で、①局内に大規模自然災害が発生した場合等に被災自治体等が行う被災状況の迅速な把握、被害の発生・拡大防止、被災地の早期復旧その他災害応急対策に対する技術的支援を円滑かつ迅速に行う「TEC-FORCE」が設置されたこと、②能登半島地震にも派遣され、現地の自治体と調整しながらドローン等を活用して被害状況の把握や、どこが通行できるか、孤立集落はないかなどの調査を行ったこと、③地上レーザーやドローン調査による様々なデータを活用し、作業の安全性と効率化に貢献できたこと などの報告がありました。
なお、九州地方整備局のDXの取組やTEC-FORCEの活動については、本局のホームページに掲載されているので、ご覧くださいと講演を閉められました。