第40回鹿大防災セミナー「火山・地震・津波災害に備えよう」を11月27日(月)に開催いたしました。本セミナーには、本学の教職員および学生のほか、学外の自治体職員、技術者、地域住民の方々など75名の参加がありました。
本センター調査研究部門の齋田倫範准教授(理工学域工学系)の司会進行で三つの講演が始まりました。
まず、本センター兼務教員の井村隆介准教授(総合教育機構共通教育センター)が「火山学を火山防災に活かす」と題して、霧島山新燃岳平成噴火とその防災対応や桜島2022年噴火警戒レベル5クライシスについて現場の火山研究者の視点から講演を行いました。新燃岳と桜島の噴火事例を現場写真や噴火に伴う行政対応等で説明しながら、「状況把握、何が今起こっているかを瞬時に解釈する能力とそれに基づく将来予測が大事」とし、火山学と火山防災の違いを指摘しました。また、メディアやSNSによる個人の情報発信活動を紹介し、「防災情報はほしい人が、ほしい時に、ほしい形で伝わないと意味がない」「伝えるための努力が普段から必要」と強調しました。
次に、本センター兼務教員の小林励司准教授(理工学域理学系)が「地震災害の仕組みと防災」と題して、なぜ地震が起こるか、地震がどんな被害をもたらすか、プレートと地震、日本付近で発生する地震を映像や写真で説明しながら、各被害の態様や地震災害の対応について講演を行いました。地震の揺れ自体で亡くなる人は殆どいません。それに伴う建築物や家具等の倒壊、土砂に巻き込まれたり、津波や火災にあったりして被災されることが多く、建築物の耐震化や家具の固定、日常の津波避難訓練等を行い、普段から備えておけば、被害がかなり減らせることができ、地震は不意打ちでやってくるので、事前の備えが非常に重要と述べました。
最後に、本センター兼務教員の柿沼太郎准教授(理工学域工学系)が「種々の津波の数値シミュレーション」と題して、水深と波長の関係から見た風波と津波の違いといった基礎知識を解説し、数値計算に触れながら様々な津波事例について講演を行いました。志布志湾及び鹿児島湾における津波の数値シミュレーションを示し、特に九州南部では、異なる経路から来る津波の重合が生じ、局所的に大きな津波高さを示す可能性があると指摘しました。また、海底地震や海底噴火に伴う海底面の変位や、地すべりによって発生する津波の他にも、噴火による空気の振動で生じた「気圧波」が原因で起こる共鳴によって発生する津波もあると説明しました。