梅雨時期を前に、風水害を含めた防災に対する知識を身に付けていただくことにより、地域の防災力を高め、災害による被害を少なくすることを目的として、鹿児島市では、毎年度、各自主防災組織会長や町内会長などを対象に地区別防災研修会を開催しています。
今回は、5月29日(水)に、鹿児島大学地域防災教育研究センターの兼務教員である寺本行芳准教授(農水産獣医学域農学系)が講話を行った、かごしま市民福祉プラザを訪ねました。
本研修会では、鹿児島市の危機管理課、消防局、地域福祉課のほか、鹿児島地方気象台、鹿児島県警察も参加し、線状降水帯に関する情報やキキクルの紹介、災害への備え、能登半島地震を踏まえた大規模災害時の避難所運営などについてそれぞれ説明がありました。
寺本准教授は、「風水害に備える~土砂災害(特別)警戒区域とは~」と題して講話を行いました。
講話では、1993年に発生した鹿児島豪雨災害について鹿児島市他の被災現場の写真を示しながら、120名の死者のうち土砂災害関係が105名、また行方不明1名と死者を含む121名のうち60歳以上が約45%を占めたとの説明がありました。
また、①土砂災害を引き起こす原因には、表層崩壊、深層崩壊、土石流などがあり、崩壊地に草や木が生え表層土が厚くなってくると大雨で崩れるという表層崩壊がシラス急斜面では100年程度の周期で発生する、②土砂災害を防ぐために砂防ダムなど各種ハード対策がとられているが、雨の規模によっては施設の能力を超える規模の災害が危惧されるため過信しないことが大事と話していました。
さらに、土砂災害の危険区域の周知や各種規制を目的とした土砂災害(特別)警戒区域の指定制度について紹介し、これらの区域を記載した「かごしまiマップ」などを活用し、自宅周辺の危険や避難場所、避難経路を普段から確認しておくことが大事との話もありました。
最後に、自分や大切な方の命を守るために、災害発生の仕組みや、自分の地域ではどんな災害で、被害がどこまで及ぶのかを事前に知っておくことや、内容も高度化し発信体制も迅速となった防災情報を住民が積極的に活用し迅速な行動に移すことが重要であると強調していました。