第42回鹿大防災セミナーを開催しました

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 2024年7月31日(水)、鹿児島大学地域防災教育研究センター主催の第42回鹿大防災セミナー「大災害に備える」が開催されました。今回のセミナーは会場とオンラインのハイブリッド形式で行われ、会場には35名、オンラインでは216名が参加し、本センター調査研究部門長の寺本行芳准教授(農水産獣医学域農学系)の司会進行のもと、三つの講演が行われました。

 最初に、地域防災教育研究センター長の酒匂一成教授(理工学域工学系)が「地域防災教育研究センターの取組」と題して講演を行いました。酒匂センター長は、2011年にセンターが設立された背景から、2012~2015年度および2016~2021年度に実施された二つのプロジェクトの概要と、それらから得られた研究成果を紹介しました。さらに、現在進行中のプロジェクト(2022~2027年度)では4つの課題に取り組んでおり、まず「大規模火山噴火に伴う複合災害の発生メカニズム解明と影響評価」における研究成果(鹿児島市の桜島火山防災リーフレット改訂版への反映など)を説明しました。続いて、「総合防災データベースの構築とその利活用」に関する事業や「学際的防災研究成果を活かした防災人材育成」に向けた様々な取り組みについても紹介されました。最後に、「研究成果の地域社会への実装と地域防災力の向上」に関するシンポジウムやセミナーなどの開催、自治体や関連機関など地域からの要請による活動の実績についても述べられました。

 次に、国土交通省九州地方整備局防災室の川端良一防災室長が「能登半島地震災害から見えてきた課題」と題して講演を行いました。川端防災室長はまず、九州地方における多様な自然災害リスクと平成28年熊本地震について簡単に触れました。その後、令和6年能登半島地震における政府および国土交通省の対応として、インフラ(道路、トンネル、鉄道、港湾など)の被災状況と緊急復旧の状況を詳述しました。また、初期対応にあたった国の職員たちによる「自主点検レポート」に基づき、地震の特徴や被災地での主な取り組みを紹介しました。さらに、これらの経験を踏まえた今後の災害対応や、防災・減災対策についても言及しました。

 最後に、鹿児島地方気象台の土屋春彦気象防災情報調整官が「昨今の気象と防災気象情報の充実」と題して講演を行いました。土屋気象防災情報調整官は、地球温暖化が原因で、世界各地で極端な気象現象が増加していることを指摘し、鹿児島県における気候変動の影響として、気温の上昇、猛暑日・熱帯夜の増加、大雨の増加、海水温の上昇、および台風の勢力の強化が予測されていることを説明しました。さらに、防災気象情報を充実させるための取り組みとして、現在の線状降水帯に関する情報や5段階の警戒レベルと防災気象情報についても詳述し、危険度分布情報を提供する「キキクル」の活用を促しました。最後に、シンプルでわかりやすい防災気象情報を提供するための情報体系の整理と名称変更の推進についても述べました。

川端良一防災室長の講演
土屋春彦気象防災情報調整官の講演

 


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