第43回鹿大防災セミナーを開催しました

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 2024年10月2日、鹿児島大学地域防災教育研究センター主催の第43回鹿大防災セミナー「災害に備える地域づくり」が開催されました。今回のセミナーはオンライン(Zoom)で行われ、173名が参加しました。司会は本センター調査研究部門の齋田倫範准教授(理工学域工学系)が務め、2つの講演が行われました。

 最初に、本センター地域連携部門の平瑞樹助教(農水産獣医学域農学系)が「2023年6月奄美大島の土砂災害調査および久慈地区土石流による農地被害と今後の対策」と題して講演を行いました。記録的な大雨により、奄美大島南東部では停電や断水、道路の寸断による孤立などの被害が発生しました。瀬戸内町久慈地区では土石流が発生し、農地やビニールハウスが土砂に埋まり、農作物や設備にも被害が及びました。平先生は、ドローンで空撮した農地の埋没状況と、行政による土砂撤去や農地復旧の進捗について詳しく解説しました。砂防堰堤の設置が優先されるため、農地や農業用施設の復旧作業は3~4年後になる見通しであり、農家にとって大きな負担が伴うことが課題として挙げられました。さらに、砂防ダムの設置や地域防災計画の強化が求められており、地域住民と行政の連携による土砂災害の再発防止の重要性が強調された。

平 瑞樹助教の講演

 次に、本センター兼務教員の長山昭夫助教(理工学域工学系)による「桜島大規模噴火に伴う軽石群による港湾埋没過程の実験的検討」が行われました。この講演では、桜島の大正大噴火や小笠原諸島の海底噴火などの過去の事例をもとに研究の背景を紹介し、工学部海洋波動実験棟の風洞水槽を使用して、風と波が軽石の漂流や堆積に与える影響をシミュレーションした実験について解説しました。実験と分析の結果、軽石は30日から60日間浮遊可能で、堆積した軽石群が再漂流する際、構造物があると波よりも風や構造物による影響が大きいことなどが明らかになりました。この研究により、軽石の流動や堆積後の残存率を推定できるようになり、鹿児島湾内沿岸域における軽石による被害の予測に寄与することが示唆された。

長山 昭夫助教の講演


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