2025年1月27日、鹿児島大学地域防災教育研究センター主催の第46回鹿大防災セミナー「地震や火山噴火の予兆を把握する」が開催されました。今回のセミナーはオンライン(Zoom)で行われ、285名が参加しました。司会は本センター地域連携部門長の黒光貴峰准教授(法文教育学域教育学系)が務め、2つの講演が行われました。
最初に、本センター防災教育部門の川端訓代准教授(総合教育機構共通教育センター)が「ラドンで覗く地下の変化~地殻変動は予測できるか?~」と題して講演を行いました。1995年の兵庫県南部地震や2011年の東日本大震災において、発生前にラドン濃度が上昇していた事例が報告されているものの、地震予測への応用にはさらなる研究が必要であることが指摘されました。現在、国内には地震予知を目的とした地下水ラドン観測点は存在しませんが、鹿児島は活発な地殻変動と豊富な温泉を有し、ラドン濃度の長期観測に適した地域であると説明されました。また、従来の月1回の観測ではラドン濃度の変動パターンを詳細に把握することが難しかったため、大学の異分野研究プロジェクトの支援を受けて連続観測が可能な測定装置を開発。開発した装置の測定結果が示され、今後の継続的な観測の重要性が強調されました。
次に、本センター兼務教員の松井智彰教授(法文教育学域教育学系)が「桜島から噴出する火山灰を構成する斜長石の構造状態に関する研究(2023年11月~2024年10月)」と題して講演を行いました。講演では、斜長石に注目した粉末X線回折実験によって火山活動を物質科学的に監視する手法の有効性が議論されました。これまでの調査研究から、火山灰試料採取量が不安定なことや斜長石自体の不均一性(起源、晶出時期、組成累帯構造等)に起因する課題が挙げられ、対応する策として採取地点を追加し、まずは斜長石を単離(磁選、重液分離)して行った実験結果が紹介されました。最後にこれらを踏まえて、採取期間毎に斜長石結晶の構造状態が火山活動によって敏感に変動することが提示されました。