令和6年度県民防災講演会「桜島大正噴火から110年」が開催されました


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 去る11月10日(日)に鹿児島県、鹿児島地方気象台及び鹿児島大学地域防災教育研究センターが主催し、令和6年度県民防災講演会「桜島大正噴火から110年~その時にあなたはどう備える~」が鹿児島大学稲盛会館で開催され、150名の参加(会場+オンライン)がありました。

 本年が火山防災の日(8月26日)が制定され初めての年となるのを機に、110年前の桜島大正噴火について、①どのようなものであったのか、②同様の噴火に備えてどのような調査研究がなされているのか、③桜島の監視・観測体制や情報提供体制はどうなっているのかを紹介し、備えを考える機会として企画されました。

 まず、初めに京都大学防災研究所附属火山防災研究センターの中道治久センター長(教授)が講演を行い、①火山災害では、火山灰、岩塊だけでなく地震や津波、土石流など複合災害となる可能性があり、また他の自然災害と異なり、被害も長期にわたること、②大正噴火では、噴火の前年から様々な現象が現れ、3日前から桜島で、前日には市街地側で有感地震が観測されたこと、③噴火の8時間後にはM7.1の地震が発生したことなどを紹介し、マグマの蓄積が大正噴火時に近づきつつある今、大正噴火と同規模の噴火が発生した場合には日常生活への長期的影響が避けられないことに留意する必要があると話されました。

 次に講演を行った鹿児島大学地域防災教育研究センターの酒匂一成センター長(理工学域工学系教授)は、センターの設立趣旨、活動経緯や現在の取組のほか、桜島大噴火に関して、①大正噴火当時に何が起きたのか、複合災害の事例収集とそのメカニズムの検討、地域経済や市民生活への影響等を調査研究していること、②また特に、鹿児島市の要請を受け市と協働して、桜島大噴火の木造住宅への降灰の影響、その後に地震が起きた場合の影響の把握に取り組み、その結果を市の火山防災リーフレットに反映(損傷や倒壊のおそれ)させたことを紹介し、早めの避難が大切と呼びかけていました。

中道所長の講演
酒匂センター長の講演

 また、鹿児島地方気象台の安藤忍地震津波火山防災情報調整官は、国内にある111の活火山のうち11が鹿児島県にあり、①桜島や霧島山など5つは常時観測火山であること、②マグマの動きに注目しており、地面や空気の震動、地盤の変形、表面の様子について特に気をつけて監視していること、③桜島では、地震計、空震計、地殻変動を把握するGNSS、傾斜計、伸縮計などを活用していることを紹介した後、降灰予報や警報など各種火山防災情報についても詳細な説明がありました。最後に、桜島から噴火の兆候を受けとっても、現在の科学技術では噴火発生日時までの予測は困難であるが、火山活動に有意な変化があった場合は、迅速に情報発表するため、自治体からの指示に従って行動されるようお願いされました。

 講演終了後には、質問に答えるコーナーが設置され、冒頭、事前質問を受けて鹿児島県危機管理防災局危機管理課の下茂康雄主幹兼計画管理係長が、「鹿児島県における火山防災対策の取組」のテーマで、①火山災害警戒地域、②火山防災協議会、③火山防災連絡会、④防災訓練の実施、⑤施設整備・降灰対策について説明されました。その後、会場から、①南海トラフ地震に誘発されて桜島が噴火することはないか、②建物に火山灰が堆積後、雨に降られた場合の影響は、③VRやARを活用した取組は防災上有意と考えるが、④大規模噴火した場合の防災グッズを紹介してなど活発なご質問があり、参加された皆様の危機意識の高まりが伝わる講演会となりました。

安藤調整官の講演
質疑応答


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