2024年12月7日(土)、鹿児島大学稲盛会館キミ&ケサメモリアルホールにて、令和6年度レジリエント社会・地域共創シンポジウム「火山大噴火と地震に備える~災害を知り、地域防災力を高める~」を開催しました。当日は、会場とオンラインのハイブリッド形式で実施され、県内外から一般住民、自治体や関係機関の職員、学生など約300人が参加しました。
開会にあたり、鹿児島大学の佐野輝学長より挨拶があり、続いて一般社団法人国立大学協会の位田隆一専務理事より来賓挨拶が行われました。
はじめに、酒匂一成地域防災教育研究センター長が、これまでのセンターの取り組みや現在進行中の大規模火山噴火に備えた調査研究を紹介し、本シンポジウムの趣旨説明を行いました。その後、井村隆介准教授(総合教育機構共通教育センター)が「鹿児島県内火山の現状と備え」と題し、火山噴火の規模や頻度、桜島の噴火の歴史を解説され、火山について知ることの重要性や教育の必要性を強調しました。続いて、小林励司准教授(理工学域理学系)が「県内で想定される地震と備え」と題し、鹿児島県周辺で起きた地震や津波の事例を挙げつつ、地震予知が困難な現状を踏まえ、事前の備えの大切さを強調しました。最後に、鹿児島地方気象台の安藤忍地震津波火山防災情報調整官が「気象庁の地震・火山防災情報」と題し、気象庁が提供する防災情報を解説し、情報の活用方法について説明しました。
第2部パネルディスカッションでは、酒匂センター長がコーディネーターを務め、「地域防災力の向上」をテーマに、火山噴火や地震に対する具体的な備えについて議論されました。オンラインおよび会場参加者から多くの質問が寄せられ、耐震化など防災対策の経済的負担、火山噴火や地震の予測、津波からの避難、大規模噴火時の交通網への影響など、多岐にわたるテーマが取り上げられ、講演者らが詳細に回答しました。
最後に、講演者からシンポジウム参加者へのコメントがありました。安藤地震津波火山防災情報調整官は、鹿児島地方気象台として、住民や学生を対象としたワークショップなどを通じた地域貢献を、今後も継続していくので積極的に参加いただき、地域防災力の向上に活かしてほしいと述べました。井村准教授は、火山噴火や地震などの災害リスクがある地域に住む「覚悟」の重要性を強調しました。小林准教授は、効率的な耐震化の推進を呼びかけるとともに、南海トラフ臨時情報が必ずしも事前に発表されるとは限らない現状を踏まえ、事前の備えを徹底することが大切だと訴えました。
閉会にあたり、岩井久理事(企画・社会連携担当)より挨拶があり、災害の予測が難しいからこそ、一人ひとりが知識を持ち、適切に対応できるよう防災意識を高めることの重要性を強調し、シンポジウムを締めくくりました。
会場には、井村准教授がAIによりカラー化した桜島大正噴火関連の写真展示、降灰のVR体験コーナー(制作:医歯学域医学系・松成裕子教授)、鹿児島市桜島火山防災リーフレット等の資料コーナーが設置され、多くの方々が見学されました。