与論町において震度6の地震が発生し、これに伴い津波に襲われることを想定した「津波から身を守る防災活動」が、島内各地域の住民が参加して、令和7年1月25日(土)に与論町総合体育館「砂美地来館」で開催されました。
この活動には、与論町から依頼を受けて、鹿児島大学地域防災教育研究センター兼務教員の柿沼太郎准教授(理工学域工学系)が参加し、津波に関する講演を行うとともに、防災ワークショップに関して講評などを行いましたので、ここに概要を報告いたします。
講演では、津波が発生するメカニズムの説明に始まり、これまでの津波の例も紹介しながら、①土砂崩れ、地すべりあるいは海底地すべりなどいろんなことで津波が起きる、②島の一方向からの津波でも島を回り込むことも考えられる、③河川の津波は陸地を進む津波より速い、④津波が来た時にどちらの道を選択したらよいのか、そのためには普段にどのようなことが起きるのかを考え想定内にしておくことが大事 と話していました。講演後には会場から質問があり、自身の研究成果などを踏まえて分かりやすく回答されていました。
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講演に引き続き、どのルートを使って避難するか、避難に当たってはどのような危険が予測されるか、避難に当たり必要なことは何かなどについて、住民がそれぞれの居住地区ごとに分かれて議論しあうワークショップが行われました。
終了後には、各グループから、①車両での避難では過去に渋滞した道路があり誘導が必要、②避難所の込み具合や渋滞情報の避難者への提供が必要、③避難ルート上の橋梁やブロック塀が倒壊していないか確認しながらの誘導が大事、④倒壊建物では安否確認が必要では、⑤液状化が危惧される、⑥普段から避難について家族で話し合うことが大事 などの発表がなされ、参加者の皆さんの危機感や防災への熱い思いが感じられるワークショップでした。
最後に、柿沼准教授から、①意見やアイデアをみんなで聞きあうのは大事で、避難先でもそのようにできたらいい、②津波は何波も続いてやってくるが、一番目が最大とは限らないので、警報等が解除されるまでは安全な場所で待機して、③高いところに避難するのはその通りだが、まずは低い土地から脱出することが重要、④複数の道や複数の情報源を知っておくことが重要、⑤土砂崩れ等の情報を共有して臨機の判断に活用してほしい、⑥地域事情を知らない観光客の避難に資するよう、宿泊施設にはリーフレット等の準備を など講評がありました。
当日の主要な日程はこれで終了しましたが、今回得られた新たな気づきを基に、2月9日には島内全域での避難訓練が行われました。
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