令和7年11月30日(日)に、南さつま市の村原公民館で、村原防災会主催の「親子防災教室」が開催され、小学生以下14名とその保護者12名が参加しました。
村原防災会は、五つの町内会が集まった自治公民会が母体となった自主防災組織です。今回は、鹿児島大学地域防災教育研究センターに対し、本学の公開講座を受講して防災士の資格を取得された西園副会長から、親子で防災について考える研修の実施について協力依頼があり、本センター地域連携部門長の黒光貴峰教授(法文教育学域教育学系)と本センターが包括連携協定を締結している鹿児島地方気象台の轟日出男要配慮者対策係長が講師を務めました。
はじめに黒光教授が、「親子で考える❝くらしとまちの防災❞」と題し、講話を行いました。講話では、まず、「防災」という言葉を聞くと、「怖い」とか「難しい」と感じるかもしれないが、皆さん一人一人が好きな場所、大事な人をどうやって守るのかを考える必要があるとの話がありました。
「防災」というと、特別な準備を行わなければならないと思うかもしれないが、実は普段の生活の中でできることがたくさんあり、遊びや生活の中で気づいたことを大切にして、自分で感じ、言葉にし、伝え合うことがとても重要であると話し、風が強くなってきたとか、川の水が増えてきたとか、小さな変化や危険のサインに気づくことが最初のスタートであり、気づいたことを短い言葉で表現し、具体的な行動に変え、その日の気づきを家族で会話して振り返ることで学びが定着して、次に同じような場面が起きたときに自然と安全な行動がとりやすくなるとの説明がありました。
そして、子どもたちに対して、(1)災害は天気に大きく左右されることから、季節や自然の変化に気づく名人になってほしい、(2)気づくだけでなく、言葉にし、行動にして振り返るという作業を体に染み込ませていくと、普段の生活の中で、少しずつ防災力が積み重ねられて形になる、(3)「防災」について、怖いことではなく、合言葉を作るなど楽しく続けられる毎日の習慣に変えていくことがとても重要であるとの話がありました。
また、保護者の方々に対しては、(1)「危ない」、「ダメ」と言ってしまいがちであるが、命に関わるようなとき以外は、「どうしたら安全かな」など問いかけ言葉にすると、子どもが自分で考えるようになること、(2)すぐに答えを教えたくなるが、子どもが自分で考えて試してみるという経験が、いざという時の行動につながること、(3)具体的にほめることで、子どもが考えたこと、工夫したことが認められたと感じ、自信と防災力が一緒に育っていくことを説明し、声のかけ方やほめ方を少し工夫するだけで、日常の気づきが子どもたちの大きな力になっていくと訴えました。
「防災」は特別な日だけ学ぶのではなく、いつものくらしの中で少しずつ積み重ねていくものであるとの言葉で、黒光教授の講話は終わりました。


次に、轟係長による「地震・津波防災ワークショップ」が行われました。
まず、津波発生の仕組みの説明があり、津波が見えてから逃げるのでは遅く、津波注意報が発表されたときはすぐに海から離れることや、より遠くではなくより高いところに逃げること、注意報が解除されるまで海に近づかないことを呼びかけていました。また、インターネット等でハザードマップを確認するよう促しました。
その後、参加者は6グループに分かれて、「津波から身を守るためにはどうすればいいか」をテーマに、とるべき行動をシミュレートすることとなりました。
ここでは、小学生が知らない街で地震に遭遇したなどの条件設定を行い、時間の経過とともに遭遇した様々な場面でどのような行動をとるべきか、どのようなルートでどこに避難すべきかなどについて積極的に話し合っていました。
子どもたちからは、スマートフォンで情報を得る、家族が迎えに来ると言っても来させないで早く逃げる、大津波警報発表時には川から離れて小高い山を目指すなどの意見が出ていました。
グループワーク終了後、轟係長による振り返りがあり、家族が一緒ではないときに大きな地震が起きたときは、各人がそれぞれ高いところを目指して逃げることを約束しておくことや、まず真っ先に自分が避難を始め、周りに呼び掛けながら避難を行うことが大事であることなどを話しました。
最後に、東日本大震災の時に避難した小学生の実話に基づくアニメーションを視聴し、「ここで安心と思わず、さらに高い場所に避難する」ことが大事であり、本日学んだことを周りの人たちに伝えてほしいと轟係長が呼びかけて、「親子防災教室」は終了しました。
本センターの教員や気象台の職員は、地域防災力向上のため、地域に出向いて、防災・減災の知識を講演等の様々な形で地域住民に伝える活動を実施していますので、皆様からのご相談をお待ちしております。




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