去る9月3日(水)に鹿児島県、鹿児島市及び一般財団法人消防防災科学センターが主催し、鹿児島大学地域防災教育研究センター、公益社団法人鹿児島県栄養士会が共催した「令和7年度 防災啓発研修会」がカクイックス交流センターで開催されました。
本研修会は毎年度開催されており、今年度は、自助・共助による地域防災力の強化・充実のため、地域における防災活動や備蓄等の必要性について啓発を行うことを目的に開催されました。
会場では、市町村防災担当者や消防職員、地域住民など約150名が参加される中、①鹿児島の気象と天気予報を活用した防災、②防災、今あなたが出来る「備え」を考える、の二つのテーマで講演がありました。
まず、気象予報士で減災コンサルタントの饒村曜氏から、「鹿児島の気象と天気予報を活用した防災」についてご講演いただきました。その中で、①鹿児島県の気象観測と予報体制について、鹿児島県内のアメダス(地域気象観測システム)は52地点、上空の風向や風速を測定するウィンドプロファイラー観測点は市来、屋久島、名瀬にあり、手厚く配置されていること、②地球温暖化について、海面水温の上昇により台風の強度が増大するなど、防災上も大きな問題であること、③近年の防災対策について、線状降水帯の予報は令和3年から10年計画で段階的に対象地域を狭め、また、情報の発表を早くしており、現時点では精度はまだ低いが、大雨警報級の雨は降っていることから、予報が発表された時は厳重な警戒をお願いしたいこと、④確認すべき防災気象情報と対応する行動について、レベル5が発表された場合、それから避難所に避難しようとしても逃げ遅れになるので、家の中で崖の反対側の2階に移動するなどの命を守る行動をとることや、何よりレベル4までには避難を行うことなどを説明され、最後に、日頃から家族で防災について話し合い、また、近隣と良好なコミュニティを作っておくことが重要であると話されました。
続いて、鹿児島県専門防災アドバイザーで鹿児島県若年性認知症支援コーディネーターの堀之内広子氏から、「防災、今あなたが出来る「備え」を考える」についてご講演いただきました。その中で、避難の判断は個人に任されており、個人の防災力を高めることで命が守られるとして、①「自分は大丈夫」という正常性バイアスや「周りの人が動けば動く」という同調バイアス、「誰かを助けたい」という他愛行動をできるだけ減らして、適切な行動につなげることが命を守ることにつながり、そのためには、学び、知り、自覚し、行動することが重要であること、②避難所について、自分の状況に合う避難所なのか事前に確認して選択することや、認知症の人などにとって避難所生活は大きなストレスになる可能性が高く、サポートが重要であること、避難所では助け合って動くことが大事で、早い段階で役割分担やルールを検討する必要があること、③平時からの準備について、非常持出物品は持って避難できる重さで両手を空けて避難できるよう準備しておくこと、また、家庭の実情が異なるので、どんな困りが発生するか、そのためにどんな備えが必要かをしっかり考えておくことなどを説明され、最後に「備えあれば憂いなし」と呼びかけていました。


また、会場入口では、鹿児島県栄養士会による様々な非常食の展示や、鹿児島県原子力安全対策課による原子力防災アプリの紹介が行われており、来場者は熱心に見学されていました。



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